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生命保険について深く深く…生命保険の評判

総資産額で保険会社を見極める

財務情報から何が見える

■ 総資産額
生保の総資産額を見ていると、改めて保険会社のビジネスモデル「新規契約増→保険料収入増→総資産増大」というパターンは健在である。とりわけ生保は、損保のような多くは単年度サイクルの保険料収入と違い、長期の負債性を伴うものだから、既契約保険料収入の蓄積が大きい。それは昨年二度の業務停止を受けた明治安田生命は、新規契約保険料収入で前年度対比で12.5%減ながらも総資産額では4.8%増の約26兆4122億となっています。これを見ればいかに過去の良質な契約が生保の総資産額に与える影響が大きいかわかります。

ちなみに日本の大手生保と言われる、日生、第一、明治安田、住友の総資産額だけで(順番に50兆、32兆、26兆、22兆>)生保全体の総資産額の約61%程になります。外資系で一番早くから日本で営業を開始したアリコジャパン(5.5兆)や同時期のアフラック(4.9兆)、ハートフォード(3.4兆)、ING(2.2兆)、プルデンシャル(1.9兆)と続きますが、創業以来100年から110年の歴史を持つ日本社大手生保と、一番早いアリコジャパンやアフラックで30年少しと言うところですが、他の業種と違いこの時間の差は埋めることは中々難しいと思います。

総資産が大きければ経営体力があり、有利な立場で経営を行なえる事は間違いありませんが、しかしそれが全てではありません。先日古い資料を整理していて、懐かしい新聞記事が出てきました。1987年の朝日新聞の記事に「あり余る金、運用が追いつかない」という見出しの記事で「日銭200億円」「太りすぎは苦しいことだ」と当時の日本生命の川瀬源太郎社長のコメントとして「世間はうらやむが、カネがどんどん増えるのは苦しいことだ。お預かりしたカネは利子をつけてお返ししなければならんが、運用が追いつかない。このままではカネに埋まってしまう、との危機感さえ社内にはある。」というようなコメント記事がありますが、ザ・セイホマネーということで、海外市場に大きな影響を与えた時代でした。

まさにこのことが物語るように、まだまだ過去の契約の逆ザヤが完全に解消できる運用環境ではありませんが、しかしこれからの金利上昇局面では有利だと思います。昨年度の決算を見ても株価上昇を受けて、有価証券の含み益が総資産拡大に拍車をかけている一面もありますが、現実には運用利回りが僅か0.1%上がるだけでもニッセイでいうと数百億円の運用益があります。
新規契約が死差益の高い個人保険契約が増加しているか、減少しているか、あるいは死差益の取れない個人年金保金保険の比率がどうなのかといったことが、問題になってきます。人間の体に例えば、体が大きくて水ぶくれの肥満体質か栄養バランスのとれた筋肉質かと言ったところです。

一方損保の決算ではではで全体の総資産額では(日本損害保険協会加盟22社)約36.6兆円と生保に比べれば桁が一つ少ないですが、東海日動、三井住友、損保ジャパン、日本興亜、あいおい損保(それぞれ順に約10.8兆、7.5兆、5.9兆、3.4兆、2.7兆円)となっていますが、他に1兆円を越す損保は富士火災、ニッセイ同和となっていますが、この7社だけで90%以上占めています。各社の動向がどの様になっているのか専門的な詳しいことは分かりませんが、数字を眺めて想像するだけのことですが、人口減少が始まっている我々の社会で5年後、10年後に全ての会社が生き残っていけるとは思えません。

この財務情報は連結決算ではなく、非連結で表示していますが、個々の損保のバックとなる影響力のある企業の動向により、第二の再編が始まってもおかしくないと想像しています。そういった意味から上場損保の株価にも注目と言うところでしょうか。決算情報の数字をただ単に見ているだけでは退屈しますが、数字が物語る背景を色々と想像しながら見ると結構楽しいものです。

2006年3月期決算の数値を参考にしています。

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